全国ケンコミ建築設計研究所
建築の基本要素の概念
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Yusuke Shimizu
清 水 勇 佑
Architecture Student Years
建築学生時代
第1章|学生時代の歩み
日本大学理工学部建築学科・大学院での設計教育、研究活動を通して、建築デザインへの関心を深めていった学生時代の歩み
第2章|建築学生団体の設立・運営
建築学生団体の立ち上げから、展覧会・講評会・建築賞などの企画運営、国内外の学生や建築関係者とのネットワーク形成まで
第3章|建築実務の経験
設計事務所、組織設計事務所、建築関連企業でのアルバイトや実務を通して、設計・施工・企画など建築業界のさまざまな仕事を経験
第4章|建築デザインへの挑戦
大学の設計課題や自主設計、国内外の建築コンペティションへの応募を重ね、受賞や書籍掲載を通して自身の建築デザインを発展
第5章|就職活動と進路選択
設計事務所、組織設計、ゼネコン、デベロッパーなど建築業界の進路を比較・研究し、自身の目指す建築家像を考えた末、隈研吾建築都市設計事務所への入社を決断
第1章|学生時代の歩み
日本大学での学びと建築への関心
日本大学理工学部建築学科は、非常に競争的な環境 でした。
特に建築設計の設計課題の授業では、設計作品ごとに明確な順位が付けられ、1位から8位程度まで評価される制度がありました。複数の教授や非常勤講師が一堂に会し、長時間にわたって講評や議論を行う光景は、一見すると民主的で真摯な審査のように見えました。確かに、建築デザイナーとしての思考力や設計力、建築デザインにおける創造性など、個々の特性については相対的な優劣を評価することが可能です。しかし、当時の私にとっては、その評価の多くに納得できませんでした。「 最も優れた建築デザイン 」の定義や順位付けは誰にもできないと感じました。順位付けはあくまで限られた条件下での相対評価に過ぎないと感じていました。
建築デザインは本来、多次元的であり、単一の尺度によって絶対的な優劣を決めることはできません。それにもかかわらず、人は「最優秀」を決めたくなります。そして私自身もまた、その称号を目指していました。この矛盾と難しさこそが、私にとって建築デザインを探求し続ける大きな原動力となりました。
振り返ると、私が追い求めていた「建築デザインで最も優れた人間になる」という目標は、結果そのものよりも、その過程にこそ大きな意味があったように思います。建築デザインには唯一の正解が存在しないからこそ、問い続ける姿勢そのものが価値を持ちます。以下に、その探求の過程を列挙します。これは単なる経歴や実績の一覧ではなく、私自身が建築と向き合い、自らの価値観を形成していくために歩んだ軌跡です。大学生活は、自分の興味のある分野を探求し、建築を通して自分自身を知る期間でした。野心を持ち、自分なりに考え、行動に移し、それをひたすら続ける。その姿勢を大切にしながら学生生活を送りました。
私の学生時代における最大の目標は、「 建築デザインで最も優れた人間になること 」でした。
設計課題では最優秀作品に選ばれることを目指し、コンペや卒業設計でも受賞を目標に挑戦を続けました。当時は、どのような建築やデザインが理想なのか明確な答えを持っていたわけではありません。しかし、自分なりに考え続け、試行錯誤を重ねながら、 誰にも真似できないほど努力 することだけは徹底していました。その積み重ねが、建築を学ぶ楽しさや奥深さを知るきっかけとなり、現在の自分の基盤になっています。
建築業界が発展し情報化社会が進む中で、「完璧な建築家」「完璧な建築評論家」を定義するきっかけとなりました。

学部4年 一人で寝泊まりしていた研究室に作った自室[自席]

修士2年 一人で寝泊まりしていた研究室に作った自室[自席]
第2章|建築学生団体の設立・運営
学生組織の立ち上げと国内外での活動
「最も優れた建築デザインとは何か」を考えるためには、自分自身の視点だけではなく、他者のデザインや思考プロセスを理解し、多様な価値観に触れることが必要だと考えました。そのため私は、建築デザインを通じたコミュニティ形成を目的として、5つの学生組織を設立しました。
学生組織の設立は、単に活動の場をつくることではありません。自ら課題を設定し、理念を掲げ、仲間を集め、組織を運営していく包括的な実践の場です。ゼロから団体を立ち上げる過程では、企画立案力、交渉力、広報戦略、資金管理、イベント運営など、多岐にわたる能力を身につけることができました。
また、組織の理念や目的を明確に定めることで、活動の方向性を共有し、継続的な運営につなげることができました。建築分野においては、多様な人材や専門領域を結び付け、新たなコミュニティやコラボレーションの基盤を築くことに大きな意義があります。
こうした活動を通じて、多くの学生や専門家とのネットワークを形成するとともに、建築デザインに対する視野を広げる(客観性をえる)ことができました。そして、異なる価値観や考え方に触れる経験は、自身の設計活動や研究活動にも大きな影響を与えています。
■ 日本大学建築デザインサークル 設立代表
200名規模の建築サークルを設立。建築巡りやCAD講習会を実施。
■ SA Group 日本大学清水意匠設計グループ 設立代表
後輩の設計エスキースに力を入れた。建築設計でトップクラの集団となった。
■ KENKOMI.JAPAN 国際建築学生団体 設立代表
世界中の建築設計を学ぶ学生600名以上のコミュニティを形成。
■ NASA 全国建築学生賞実行委員会 設立
全国の建築学生の設計力を競うコンペの運営組織を設立。
■ WASA 世界建築学生賞実行委員会 設立
世界の建築学生の設計力を競うコンペの運営組織を設立。
設立以外にも、以下3つの学生団体において運営幹部を務めた。
既存の学生団体の運営に携わることは、立ち上げとは異なり、すでに存在する組織の理念や文化を理解し、それを維持・発展させる責任を担う行為である。運営では、参加者や関係者の満足度を高めるための改善提案、活動の効率化、次年度への継承体制の構築など、実務的かつ継続的なマネジメント能力が求められる。
特に建築関連の合宿や研究室ネットワークの運営では、異なる地域や大学の学生を結びつけ、情報共有や共同研究の機会を創出する役割を果たす。これは学術的な交流と人的ネットワークの拡大に大きく寄与する。
■ 関東建築合宿 運営幹部
■ 関西建築合宿 運営幹部
■ 全国建築系研究室 運営幹部
さらに、以下6つの学生団体に参加し、知見と経験を深めた。
学生団体への参加は、異なる組織文化や活動手法を体験し、多様な価値観や知識体系に触れる機会である。
外部の団体に加わることで、自身の専門性を他者の中で試し、適応力や協働力を高めることができる。また、全国規模や国際的な活動に参加することで、地域や国を越えた建築の潮流や課題を肌で感じ、広い視野を養うことができる。
特にコンペ運営や展示会実行委員会の経験は、企画から実施までの一連のプロセスを実践的に学ぶ場となり、将来の建築プロジェクトのマネジメントや文化活動への関与に直結する意義を持つ。
■ 日本大学理工学部学園祭実行委員会 製作局 設計施工管理担当
■ 建築トークイン上越 2019・2020・2021
■ JIA日本建築家協会 学生団体ジョイント
■ JIA日本建築家協会 東京都卒業設計展実行委員会
■ 建築学縁祭実行委員会 コンペティション運営
■ 全国合同卒業設計展実行委員会 コンペティション運営
第3章|建築実務の経験
設計事務所・組織設計・建築関連企業での実務経験
大学時代には、多くの建築設計事務所で実務(オープンデスク・インターン・アルバイト)を経験しました。
建築家の設計事務所での実務経験は、プロジェクト全体を俯瞰しながら、多岐にわたる業務に携わることができる点に大きな意義があります。基本設計から模型製作、プレゼンテーション資料の作成、クライアント対応に至るまで業務範囲は幅広く、個人の裁量や判断が求められます。その過程で、建築家がどのように思考し、設計を組み立てていくのかを間近で学ぶことができ、建築の創造性や設計者としての感性を磨くことができました。また、事務所ごとに異なるデザインアプローチや業務フローを体験することで、多様な価値観や設計手法に触れ、柔軟な発想力と適応力を身につけることができました。
一度就職すると、複数の設計事務所を経験する機会は限られます。そのため学生時代は、時間の許す限り多くの建築設計事務所に足を運び、実務に携わることを意識していました。
前述した建築学生団体の活動を通じて、多くの先輩や後輩とのネットワークを築いていたことも、こうした経験につながっています。学生コミュニティで形成した人脈は、実務の機会を得るだけでなく、多様な建築家や設計者の考え方に触れるための貴重な財産となりました。
■ 設計事務所での実務経験
■ Kengo Kuma Architectural Design Office(隈研吾建築都市設計事務所)
3か月間で工場、スポーツ施設、宿泊施設の基本設計3件、駅舎のプロポーザル1件を担当した。
■ Katsuhiko Endo Architectural Design Institute(遠藤克彦建築設計研究所)
美術館の実施設計の模型制作を担当した。
■ Ryue Nishizawa Architectural Design Office(西沢立衛建築設計事務所)
公共施設+広場の検討模型製作等を担当した。
■ Naruse Inokuma Architectural Design Office(成瀬猪熊建築設計事務所)
商業施設の検討模型製作等を担当した。
■ B2A Baba Architectural Design Office(B2A 馬場建築設計事務所)
小学校改修のプロポーザル提出模型製作等を担当した。
■ Futuring Kenchikusha(フューチャリング建築社)
住宅の検討模型製作等を担当した。
■ GK Amane Sekkei First-class Architect Office(合同会社あまね設計一級建築士事務所)
公園の模型製作等を担当した。
■ Takaomi Ohira Architectural Design Office(大平貴臣建築設計事務所)
住宅の建築設計関連業務に従事した。
■ Sekai Co., Ltd.(有限会社セカイ)
住宅の建築設計関連業務に従事した。
■ 組織設計事務所での実務経験
大手設計事務所での実務経験は、組織的かつ高度に分業化された設計プロセスを理解し、専門性を高める貴重な機会となりました。
大規模プロジェクトでは、法規調査や行政協議、構造・設備設計者との調整、BIMを活用した設計検証、大型模型やシミュレーションによる検討など、精緻かつ体系的な業務が求められます。建築を単体のデザインとして捉えるのではなく、多くの専門家との協働によって実現される総合的なプロジェクトとして学ぶことができました。
また、意匠・構造・設備・積算・施工など、さまざまな分野の専門家と連携することで、専門知識だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰する視点やマネジメント能力、コミュニケーション能力を養うことができました。
さらに、都市開発や大規模公共施設、国際的なプロジェクトに触れる機会を通じて、建築が社会や地域に与える影響の大きさを実感しました。建築は単なる空間づくりではなく、多くの人々の生活や都市の未来に関わる社会的な営みであることを学び、その責任の重さと意義を深く理解することができました。
■ Nikken Sekkei(日建設計)羽鳥部
オフィスビルや万博パビリオンの基本設計を補佐した。
■ Nikken Sekkei(日建設計)芦田部
商業施設の基本設計を補佐した。
■ Nihon Sekkei(日本設計)意匠部
再開発複合施設の模型製作等を担当した。
■ Rui Design Office Plan Bou(類設計室 計画房)
公共施設の実施設計を担当した。
■ Sato General Design(佐藤総合設計 東京)
公共施設の模型製作等を担当した。
■ Takenaka Corporation(竹中工務店 東京)
オフィスビル、宿泊施設、住宅の模型製作等を担当した。
■ Ishimoto Architects Office(石本建築設計事務所 東京)
オフィスビル、商業施設の模型製作等を担当した。
■ Azusa Sekkei Co., Ltd.(株式会社梓設計 東京)設計部
模型製作等を担当した。
■ その他職務経験
建築関連事務所での経験は、設計に直結しない領域や周辺分野を理解し、建築活動の幅を広げる点に意義がある。インテリア、展示、施工監理、企画など、建築の周辺領域における実務を経験することで、建築設計の前後に存在する工程や関係者とのつながりを把握できる。これにより、設計時点で施工性や運営性、利用者視点を考慮した提案が可能となる。さらに、異分野のプロフェッショナルとの協働を通じて、横断的な発想力と総合的なデザイン感覚を養うことができる。
■ UNIQLO 倉庫業務
正確かつ迅速に処理する能力を身につけた。
■ Hotel Chinzanso Tokyo(ホテル椿山荘東京)ブライダル業務
チームワークと助け合いの精神を身につけた。
■ イベントスタッフ
多様な建築施設の裏動線や運営システムを学んだ。
■ Toshin High School(東進ハイスクール)
人を動かす組織統括力、営業力、人間力を磨いた。

学部2年 実施設計図書から模型製作を担当した大阪中ノ島美術館が竣工。
第4章|建築デザインの評価と受賞
設計課題、コンペティション、受賞・掲載
私は学生時代、「建築デザインで最も優れた人間になる」ことを目標に掲げ、設計課題やコンペ、卒業設計など、あらゆる機会で最優秀を目指して全力で取り組んだ。
しかし、結果としてすべての場面で到底納得のいく評価を得ることはできなかった。多くの審査は、審査員や評価者の価値観や好みに強く依存しており、実質的には人気投票に近い側面があることを痛感した。そこには、絶対的かつ普遍的な「最も優れた建築デザイン」という基準は存在せず、評価は常に相対的で主観的であった。
この現実を受け入れた上で、私は次第に、単なる作品の完成度や自己満足ではなく、評価されるための論理的かつ冷静な戦略が必要であると認識するようになった。審査員の関心や価値観を事前に分析し、プレゼンテーション方法や作品の見せ方を最適化することは、決して迎合ではなく、成果を社会的に活かすための戦術であると考えるに至った。
さらに、学生時代の受賞歴には実利的な意味もある。大学院入試や就職活動においては、受賞は明確な成果として評価され、書類選考や面接における説得力を高める。加えて、作品が外部で認められる経験は、自己の建築観を客観的に検証する機会となり、次の挑戦への方向性を与えてくれる。
■ 受賞歴
■ Nihon University Master’s Design 2023 Incentive Award
日本大学修士設計2023 奨励賞
■“Student Design Exhibition Set in Chiyoda Ward” – JIA Chiyoda Regional Association 2020 Student Excellence Award
「千代田区を舞台とした学生設計展」JIA千代田地域会2020 学生優秀作品賞
■ Nihon University Graduation Design 2020 – Graduation Design Selection
日本大学卒業設計2020 卒業設計選奨
■ Nihon University Graduation Design 2020 – Part-time Lecturer Award (Tomohiko Amamiya Award)
日本大学卒業設計2020 非常勤講師賞(雨宮知彦賞)
■ Kansai Architecture Training Camp Competition – Special Award (Taro Igarashi Award)
関西建築合宿コンペ 特別賞(五十嵐太郎賞)
■ Kanto Architecture Training Camp Competition – Special Award (Ryuji Fujimura Award)
関東建築合宿コンペ 特別賞(藤村龍至賞)
■ SDW Excellence Award
SDW 優秀作品賞
■ Yokohama City Hamakko Suburban Living Competition – Innovation Award
横浜市はまっこ郊外暮らしコンペ イノベーション賞
■ Building Section Encouragement Award
建築部会 駿励賞
■ National Architectural Student Award 2020 – Excellence Award
全国建築学生賞2020 優秀作品賞
■ National Architectural Student Award 2020 – One Percent Award
全国建築学生賞2020 onepercent賞
以下省略
■ 掲載歴
■ JIA Japan Institute of Architects Master's Design Exhibition 2023
JIA日本建築家協会修士設計展2023
■ Tokyo Architecture Collection 2022
トウキョウ建築コレクション2022
■ Sendai Design League 2021 work collection
せんだいデザインリーグ 2021作品集
■ Red brick graduation design exhibition 2021 work collection
赤れんが卒業設計展 2021作品集
■ National Joint Graduation Design Exhibition 2021 Works
全国合同卒業設計展 2021作品集
■ DesignReview 2021 work collection
DesignReview 2021作品集
■ STUDIOWORKS-University Excellence Collection 2022
STUDIOWORKS-学内優秀作品集 2022
■ STUDIOWORKS-University Excellence Collection 2021
STUDIOWORKS-学内優秀作品集 2021
■ STUDIOWORKS-University Excellence Collection 2020
STUDIOWORKS-学内優秀作品集 2020
■ NU Super July 2019 NU 日本大学
Super Jury 2019
■ STUDIOWORKS-University Excellence Collection 2019
STUDIOWORKS-学内優秀作品集 2019
■ STUDIOWORKS-University Excellence Collection 2018
STUDIOWORKS-学内優秀作品集 2018
■ STUDIOWORKS-University Excellence Collection 2017
STUDIOWORKS-学内優秀作品集 2017
以下省略
第5章|就職活動と進路選択
建築人生において、10年後を見据えて行動することを心がけていました。
情報社会が発展した現代において、「建築デザインで最も優れた人間」とはどのような存在なのでしょうか。
20世紀には、多くのスターアーキテクトが社会に大きな影響を与えていました。建築家個人の思想や表現が強く評価され、その独創性が建築文化を牽引していた時代です。しかし、21世紀に入り、建築教育の普及や業界の拡大によって、建築デザインに携わる人口は飛躍的に増加しました。さらに、インターネットやSNS、建築メディアの発展によって、世界中の優れた建築事例や設計手法に誰もが容易にアクセスできるようになりました。
現在では、かつて一部の建築家だけが持っていた知識や表現手法は瞬時に共有されます。優れたデザインは世界中に拡散され、多くの設計者によって研究され、模倣され、発展していきます。その結果、建築デザインの水準は全体として向上した一方で、個人の独創性だけで圧倒的な差別化を図ることは以前より難しくなりました。
さらに近年は、BIMやAIなどのデジタル技術の発展によって、設計業務そのものも大きく変化しています。設計者には単なる造形能力だけではなく、情報を収集・分析し、多様な条件を統合しながら最適な解を導き出す能力が求められるようになっています。
情報社会の時代において、「建築デザインで最も優れた人間」とは、単に美しい建築を設計できる人ではなく、膨大な情報を理解し、多様な建築デザインのアイディアや思考を使いこなせる人間なのではないか。私はその問いを持ちながら就職活動に取り組みました。
就職活動では、可能な限り多くの企業を訪問しました。
■ 建築家設計事務所
・隈研吾建築都市設計事務
■ 組織設計事務所
・日建設計 ・久米設計 ・山下設計 ・佐藤総合計画 ・梓設計 ・石本建築事務所 ・安建築設計事務所
■ スーパーゼネコン
・鹿島建設 ・大成建設 ・竹中工務店 ・清水建設
面談や選考を通じて、多くの役員や設計、建築家の方々と直接お話しする機会をいただきました。どのような人材が組織の中で活躍しているのか、どのような能力が求められているのか、どのようなキャリアを歩んできたのかを知ることは、自分自身の将来像を考える上で非常に大きな学びとなりました。
その結果、私は「どの会社に入るか」だけではなく、「どのような経験を積み、どのような能力を獲得し、どのような人間になるか」が重要であると考えるようになりました。建築デザインは個人の才能だけで成立するものではなく、多様な専門家や組織との協働によって社会に実装されて初めて価値を持つと考えています。
一方で、私は学生時代から抱き続けてきた「建築デザインで最も優れた人間とは何か」という問いを捨てることができませんでした。情報化が進み、建築デザインが瞬時に共有される現代において、スターアーキテクトの時代は終わりを迎えつつあるように見えます。しかし、そのような時代だからこそ、なお世界中の人々を惹きつけ、社会に大きな影響を与え続ける建築家の存在に強い関心を抱いていました。
私は、多くの企業や組織を調査し、実務者や経営者の方々との対話を重ねる中で、建築家個人の思想や価値観がどのように世界へ発信され、多様な専門家や企業を巻き込みながら建築として実現されていくのかを実践的に学びたいと考えるようになりました。
そして最終的に、現代建築界において世界的な影響力を持ち続ける数少ない建築家の一人であり、私自身が「最後のスターアーキテクト」と考えていた隈研吾氏のもとで学ぶことを決意しました。建築家の思想がどのように建築へと昇華されるのか。グローバルなプロジェクトがどのような体制で進められているのか。そして、情報化社会において建築家が果たすべき役割とは何か。その答えを自らの目で確かめたいと考えたのです。
こうして私は、2023年に隈研吾建築都市設計事務所へ入社しました。
私にとって就職活動は、単なる進路選択ではありませんでした。それは、「建築デザインで最も優れた人間とは何か」という問いに対する一つの答えを探す過程であり、学生としての探究を実務の世界へと接続する重要な転換点でした。そして現在もなお、その問いに対する探究を続けています。
■ 就職活動での提出資料
建築設計分野の就職活動では、一般的な履歴書やエントリーシート(ES)だけではなく、自身の設計能力や思考力を示すための作品資料が重要な評価対象となります。企業は学生がどのような課題に取り組み、どのようなプロセスで建築を考え、どのような表現によって提案を行っているのかを総合的に評価します。そのため、就職活動では学生時代に取り組んだ設計課題、コンペティション、卒業設計、研究活動などを整理し、自身の建築観や設計能力を伝えるための資料を作成する必要があります。
■ 「サマリー」
エントリーシートに加えて提出を求められることが多いのが「サマリー」です。サマリーとは、A3用紙片面または両面1〜2枚程度に、自身の代表作品や活動実績を簡潔にまとめた資料です。限られた紙面の中で、自分の強みや特徴を端的に伝える必要があるため、作品の選定やレイアウト、文章表現など、情報を整理して伝える能力が求められます。
もちろん、志望する企業が求める価値観や設計思想に合わせて、サマリーに記載する内容や作品の順番、レイアウト、色彩計画などはその都度作り直します。しかし、単に企業に合わせるだけでは意味がありません。重要なのは、他の応募者がどのような作品や資料を提出してくるのかを予測し、その中で自分の資料がどのように比較され、どのような相対評価を受けるのかを客観的に検討することです。
就職活動における作品集は、単なる成果物の一覧ではなく、自分自身を提案するためのプレゼンテーション資料です。そのため、自分の強みや特徴を整理すると同時に、他の応募者との違いを明確にしなければなりません。企業が求めている人物像を理解した上で、自分には何ができるのか、どのような価値を提供できるのかを戦略的に示す必要があります。
■ 「パネル」「ポートフォリオ」
書類選考を通過すると、面接やプレゼンテーション選考へ進みます。この段階では、A1サイズのプレゼンテーションパネルを複数枚作成して持参する場合や、A3サイズでまとめたポートフォリオを提出する場合があります。企業によって形式は異なりますが、一般的には5〜10作品程度をまとめた作品集を用意し、自ら説明を行います。
プレゼンテーションでは、完成した建築提案だけでなく、どのような課題を設定したのか、どのような調査や分析を行ったのか、どのような試行錯誤を経て最終提案へ至ったのかが重視されます。そのため、図面や模型写真、CGパースだけではなく、スケッチやダイアグラム、検討過程なども重要な評価対象となります。
また、面接では作品そのもの以上に、「なぜその提案を行ったのか」「その経験から何を学んだのか」「将来どのような建築家・設計者になりたいのか」といった設計思想や価値観について質問されることも少なくありません。つまり、作品集は単なる成果物ではなく、自分自身の思考や理念を伝えるためのコミュニケーションツールでもあります。
私自身も就職活動を通じて、サマリー、ポートフォリオ、プレゼンテーション資料などを繰り返し作成しました。その過程で、自身の作品や活動を客観的に整理し、どのような建築観を持ち、どのような設計者を目指しているのかを言語化する機会を得ることができました。
建築設計における就職活動は、企業から評価されるための選考プロセスであると同時に、自分自身の過去を振り返り、将来の方向性を明確にするための重要な学びの機会でもありました。
■ 隈研吾建築都市設計事務
🔗 提出データ ポートフォリオ アトリエ用 A3 100page ダウンロード↓
■ 組織設計事務所
🔗 提出データ パネル 組織設計事務所用 A1 12page ダウンロード↓
🔗 提出データ サマリー 組織設計事務所用 A3 ダウンロード↓
■ スーパーゼネコン

4.5M×1.8Mの世界最大級プレゼンパネル 電車に乗せ、設計会社に持っていきプレゼンしていた。

A3 300ページ 重さ7キロ 世界最大級の圧倒的な物量のポートフォリオ。毎日持ち歩いていた。

名刺を配り様々な設計者や役員とコネクションを形成。




